リテールメディアテックとUGC


サイジニア2023年6月期第1四半期決算発表

まず最初に、11月にサイジニア株式会社の決算発表があったのでその解説記事を書こうかと思ったのですが、2022年6月期決算と同様に、2023年6月期第1四半期決算についてもIRTVにおいて解説動画をアップし、そこで決算説明についてはほぼ網羅したため、今回のコラムは別テーマにいたしました。
今後も決算説明は基本的にIRTVなどの動画を使って行っていこうと思います。
ぜひ今回の決算説明動画もご覧ください。

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▼参考 ※外部サイトに遷移します

・サイジニアプレスリリース
IRリリース動画配信サービス「IRTV」にてサイジニア株式会社の2023年6月期第1四半期決算説明動画を公開いたしました(2022年11月18日配信)
・YouTube
【IRTV 6031】サイジニア/2023年6月期 第1四半期決算速報動画(2022年11月18日配信)
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さて前回のコラムからちょっと間が空いてしまいました。
昨年の経営統合以降かなりそれまでに比べて忙しくはなっていたのですが、10月くらいからそれがさらに加速してきていて、これまでと随分仕事のペースが変わったというのが正直なところです。

前回のコラムではリテールメディアテックと検索連動型広告について解説し、次回それをさらに深堀りしますと予告していたので、今回もリテールメディアテックについて書いてみたいと思います。

リテールメディア界を牽引するAmazon

リテールメディアテックとはリテールメディアに関わる技術、ということは前回も書きました。
そしてその取り組みを牽引してきたのがリテールEC最大のプレイヤーでもあるAmazonです。

以前のAmazonは魅力的なプロダクトを仕入れ、それらを検索しやすくし、また翌日配送を実現するなど最先端のECとして確固たる地位を築き、EC事業者として大きな収益を上げていました。
一方、そうしてAmazonがECとして成長するにつれ、Amazon自体がECで買い物をするユーザーに向けたメディアとしても成長し、単にAmazon自体がEC事業者として振る舞うだけではなく、他のEC事業者にプラットフォームを利用させる(いわゆるマーケットプレイス)、モールとしての役割も増え始めてきました
その結果、Amazonは徐々にメディアやモールとしての収益に比重を置くようになってきているのではないかと思います。

Amazon自体がECとして収益を上げていたときの収益源は、商品の仕入れと販売価格の差額、あとはAmazonプライムというメンバーシップフィーでした。
一方でモールとしての収益源は他のEC事業者が支払う手数料であり、リテールメディアとしての収益源は、Amazon内の検索連動型広告の出稿料です。
それらの比率が上がってくると、AmazonとしてはEC事業者としての仕入れへの注力よりも、他のブランドもしくはリテールの企業にとってより魅力的と思えるプラットフォームの構築に注力するようになってきたのは自然な流れであると言えます。

実際私は以前、(誇張ではなく)年間数百回程度はAmazonで買い物をしていました。
そのころは「Amazonが仕入れているプロダクトはそれなりにクオリティについて信頼がおける」と思ってAmazonを利用していたのですが、その後ちょっと取り扱うプロダクトが微妙になってきたという感想を持っています。
いち消費者としては、EC事業者としてのAmazonには前ほどの魅力を感じなくなってきたのですが、一方で、私の感想はさておき、リテールメディアとしてのAmazonに大きな魅力を感じる企業はどんどん増加し、年々Amazonの取り扱う広告の金額は増えてきています。

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▼参考 ※外部サイトに遷移します

・BUSINESS INSIDER JAPAN
アマゾンの広告事業が3年で3倍、グーグル・メタとの差縮める。「広告代理店が欲しいものをすべて備えている」(2022年11月18日配信)
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今年になってついにAmazonの広告取り扱い規模はYouTubeを超えたというニュースもありました。
これはひとえに、リテールメディアというのがいかに広告主にとって魅力的な出稿先であるかを示すデータであり、ポストクッキー時代におけるリテールメディアテック、またその中のECサイト内検索連動型広告が未開拓の魅力的な市場であるか、という一つの証左でもあると思います。

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▼参考 ※外部サイトに遷移します

・REUTERS
アマゾン広告収入、規模がユーチューブ超え 世界の新聞業界並み(2022年2月4日配信)
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UGCの活用で広がるリテールメディアテックの可能性

さて、リテールメディアというのはリテールに関するメディアなのですから、メディアとして考えたときにSNSもしくはUGCとの相性は当然ながら良いと言えます。

1990年代のインターネットのメディアはほぼ企業が発信する情報で占められていました。
これが2000年代になりいわゆるWeb2.0という概念が広まり、インターネット上のメディアの多くはユーザーが発信する情報へとトレンドシフトしてきています。

純粋なUGCだけで構成されているいわゆるSNSのみにとどまらず、ニュースサイトのようにオフィシャルな一次情報に対してコメントという形でUGCが投稿されるケースもどんどん増えてきており、そして当然ながらその波はECにも広がってきています。
ECにおけるUGCというのは、現時点ではクチコミがそのメインコンテンツであると言えるでしょう。
すなわち、(リテール限定ですが)ECをリテールメディアとして大きく育てていくにはUGCを活用することが有望であり、またそれが同時にリテールメディアテックとしてリテールECにおける広告収入を上げていく有望な手段にもなりうるのではないかと、私は考えています。

retail-media-tech-ugc

また、こうしたUGCの活用はリテールメディアテックとしてだけではなく、そもそもデジタルマーケティングにおけるトレンドにもなりつつあります。
ZETAの場合、あまりデジタルマーケティングにおけるキャッチコピーというのはころころ変えないのですが、世の中の流れを見ていると、ビッグデータ・O2O・AI・オムニチャネル・Web接客・マーケティングオートメーション・ノーコード・OMOなど実に多彩で変化が激しいケースが多いと感じます。
そしていまそうした流れのメインになりつつあるキーワードの一つがUGCです。
ZETAの場合にはクチコミエンジンの提供を始めたのがそもそも6年ほど前なので、それからずっとUGCについては自社プロダクトを紹介するキーワードとして扱っていたのですが、傍から見ると流れに乗っているように見えてしまうかもしれないのが悩ましいところです。

いずれにしても、ポストクッキー時代に大きな役割を果たすものとしてリテールメディアテックがあり、またその要素や手段としてUGCやECサイト内検索連動型広告などがあるのは、間違いないと思います。
7月に発表して以来好評をいただいているハッシュタグ活用エンジン「ZETA HASHTAG」もこうした取り組みを加速させるツールとして、大変楽しみなプロダクトです。
これからも消費者がより満足した買い物ができるための機能を提供していけるよう、既存製品の改善、新製品の開発などさらにスピードアップして行く予定です。

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【著者情報】
ZETA株式会社
代表取締役社長 山崎 徳之

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