パーソナライズ とソート


検索結果は商品提案

ZETAの主力製品はEC商品検索 エンジンレコメンドエンジンです。

どちらも、「いかに消費者が購入したいと思うものを表示できるか」が重要です。
レコメンドエンジンは比較的イメージし易いでしょう。
「商品をオススメする」という目的そのままだからです。
一方で、検索についてはまだまだそういった認識が広がっていません。

検索結果は商品提案

検索は入力された検索クエリにしたがって結果を表示するもの、すなわち消費者が情報の選択の条件を決めておりサイトはそれに従う、と考えている人が多いかと思います。
本コラムでも何度も述べてきたように、それは間違いです。

検索クエリというのは消費者が「もしかしたらこういった条件で探しているものが見つかるかも」と思っている程度のもので、「この条件に厳密に従った内容を表示して欲しい。期待はずれでもいい」というものではありません。

検索クエリが重要なのではなく、検索結果が重要なのです。
「検索結果は商品提案」と考えなければなりません。

パーソナライズ の根拠となる情報

さてこうした考えに基づくと、検索結果は当然人によって最適な内容が異なります。

言い換えると「 パーソナライズ されるべき」ということです。
この パーソナライズ についても、レコメンドは パーソナライズ ということがわかりやすいですが、検索結果が パーソナライズ というと「???」と思う人は多そうです。

ただ最近ではGoogleのインターネット検索も パーソナライズ されてきているので、以前ほど違和感は無いかもしれません。

いずれにしても、検索クエリが同じだとしてもユーザーによって表示される最適の検索結果は異なります。
ただ、レコメンドと検索ではその パーソナライズ の根拠となる情報が異なります。

レコメンドは主に行動履歴などのオーディエンスデータをベースとしているので、そもそも基になる情報自体が パーソナライズ されているといえます。
これに対して検索結果というのは、検索クエリが基になる情報の中では群を抜いて重要です。

このため検索クエリが同じなら検索結果も同じになる傾向が強いというだけで、それ以外の行動履歴を取り込んでいけないということはありません。

そもそも「検索クエリもオーディエンスデータ」であるということを忘れてはいけません。

検索結果の パーソナライズ

さて、検索結果の パーソナライズ というのは何でしょうか。
それは端的に言えば「並び順」いわゆるソートです。

検索というのは情報の選択なので、挙動でいうと「抽出」したアイテムを「ソート」して出力するものです。
一般的には検索は抽出のほうが重要だといえます。

ところがこれがECになると事情が変わってきます。
ECにおいては並び順こそが重要で、何が抽出されているかはわりとどうでも良いのです。

「何が選択されているか」より「どう並んでいるか」のほうが重要ということです。

なぜならECにおいては「選択する対象はその店舗で扱っている商品が全て」という前提があるためです。
楽天のようなモールやAmazonのような巨大なECであれば1億点とか2億点の商品がありますが、普通ECが何億点という在庫を扱うことはありません。

となると検索結果としては、常に商品全てが選択の対象であとは「どの順で並べるか」がポイントということになります。
そしてこれはレコメンドも同じです。

ソートの重要性

人間に膨大な処理能力があるなら、常に全商品をオススメすればいいだけです。
それは現実的ではないので、特に重要と思われる数点をレコメンドしているだけです。
つまりレコメンドは「オススメ順でソートした上位数点を表示している」のです。

結局検索結果もレコメンドも、「ソートした上位が重要」という点では全く同じものなのです。

単にその根拠となる情報に検索クエリがあるかないか、という違いだけです。

ECサイトにおける検索とレコメンドはどちらも「オススメ順のソートの上位を表示するもの」で、違いとしては「検索クエリを使うかどうか」だけ、というのは考えれば当たり前なのですが意外と感じる人が多いのではないでしょうか。

ECサイトの本質は商品選択であり、そのために最重要なのは パーソナライズ です。
パーソナライズ は結局商品のソートとしてサイト上で表現されます。

結局突き詰めると、ECサイトがやるべきことは「最適な商品の並べ順=ソート」を考えるだけなのです。

ECサイトの鍵、最重要テーマはソートです。
これを常に意識しなくてはいけません。

ECの本質

ZETAでは現在のところ、ZETA CXシリーズとして主にSEARCHとRECOMMENDを販売しています。
どちらも本来は「EC パーソナライズ エンジン」であり「ECソートエンジン」であるといえます。

ただ、検索クエリを主に扱うものをZETA SEARCH、行動履歴を基に機械学習を行うものをZETA RECOMMENDとしています。

「 パーソナライズ エンジン」や「ソートエンジン」のほうが本質に近いのですが、ECサイトを運営する人がコンバージョンを向上しようというときにこういったキーワードで情報を集めることは現状まずないため、検索エンジンやレコメンドエンジンとして販売しています。

ただ、ソートはともかくパーソナライズの重要性というのは徐々に認識が高まってきていますので、近い将来に「 パーソナライズ エンジン」もしくは「 パーソナライズ ソリューション」という形で発表したいと考えています。

かのウォルマートは「Walmart.com is a giant personalize machine」という表現をしていましたが、まさにECサイトは本来全てが パーソナライズ の塊であるべきです。
パーソナライズの重要性

 

レコメンドをどこに表示しようか」という時点で間違いです。
ECサイトに表示される内容は「すべてがレコメンド= パーソナライズ =ソート」でなければなりません。

大仰に聞こえるかもしれませんが、すぐ近い将来にそれはやってきます。
日本のトレンドの多くは米国からやってきます。
クラウドもビッグデータもオムニチャネルもそうでした。
次の大きな流れは パーソナライズ です。

 

■ZETA CXシリーズ■
サイト内検索エンジン・EC商品検索 「ZETA SEARCH」
レコメンドエンジン「ZETA RECOMMEND」
レビューエンジン「ZETA VOICE」

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【著者情報】
ZETA株式会社
代表取締役社長 山崎 徳之

【連載紹介】
[gihyo.jp]エンジニアと経営のクロスオーバー
[Biz/Zine]テクノロジービジネスの幻想とリアル
[ECZine]人工知能×ECことはじめ
[ECのミカタ]ECの役割
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