サイト内検索 と広告の密接な関係


今回はECにおける広告と サイト内検索 について考えてみます。

広告と サイト内検索 の役割

広告と サイト内検索 というと離れたもののように思うかもしれませんが、実はこの2つはかなり密接な関係にあります。
まず1つ目として、この2つは消費者への訴求という点でかなり近い役割を担っています。

広告はECサイト外で消費者に商品を訴求します。
検索はECサイト内で消費者に商品を訴求します。

検索を広告に活用

さて広告はいろいろな種類があります。
ネット広告だけに限っても、いわゆる純広告からインプレッション広告、クリック保証、リスティング広告、リターゲティング、RTBなど様々です。

純広告は誰に対しても同じ広告を表示するため、いわゆる周知を目的としているケースが多いでしょう。
ネット以外のインタラクティブではない広告に近いと言えます。
周知だけではなく、単純接触効果の向上なども期待できます。

これに対してリスティングやリターゲティング、RTBなどは、ユーザーごとに最適な広告を表示する、いわゆるパーソナライズを狙った広告であるといえます。

広告と検索の本質

リスティングは検索キーワードをパーソナライズのトリガーにしています。
ユーザーが検索するキーワードというのは、その時のユーザーの強い興味の対象の現れであるという考えに基いています。

表示する広告は、広告の出稿者が「このキーワードで検索されたときに広告を表示してほしい。予算は◯◯まで」という入札に基いて決定されます。

これはまさに、ECのサイト内検索のあるべき挙動そのものであると言えます。

現在のECにおける商品検索は、残念ながら単純に入力された条件に沿う商品を表示しているだけに過ぎません。
しかしながら本来は、入力された検索条件をトリガーとして、それなら何を表示したいかをマーチャントの意図の元に表示するべきなのです。

リスティングはそれを広告入札という方法で実現していますが、ECのサイト内検索はまだそのほとんどがそうなっていません。

ECサイト外では検索されるキーワードを意識して、それに対して表示してほしい広告を熱心に設定するのに、その広告の成果として流入してきたユーザーに対して サイト内検索 結果には無頓着というのは、本末転倒とまでは言えないにしても片手落ちであることは間違いありません。

広告に注力するのと同じ、もしくはそれ以上に、サイト内の検索結果には力をいれてしかるべきなのです。

このように広告と(ECにおける)検索というのは、本質的にかなり似通ったものであるということがわかります。

ECサイト内の検索結果もマーケティング

また広告と検索が密接な関係という理由の2つ目として、1つ目でも触れたのですが、流入前と流入後という関係性が挙げられます。

広告によって流入したユーザーは検索によってコンバージョンします。
広告をリスティング広告に絞って言えば、サイト外検索広告によって流入したユーザーは、 サイト内検索 結果によってコンバージョンするのです。

「サイト内の検索結果は広告と同じ」なのです。

ECサイトの売上というのは、流入×コンバージョンという掛け算によって決まります。
流入が多くてもコンバージョンが低くては売上は上がりません。

サイト外の広告によってユーザーを流入に導き、ランディングしたユーザーにはサイト内の広告(検索結果)によってコンバージョンに導いて、初めて売上となります。

ところがECサイトの取り組みについて、特に予算という視点で見た場合、広告は売上の原動力と考えていても、検索結果を良くする取り組み(=良いサイト内広告を出すこと)についてはただのコストと考えられているケースが多いのが現状です。

サイト内検索 の結果というのはサイト外での広告と違って出稿する費用もかかりません。
そこにイマイチな検索結果を表示していたのでは、大変な機会損失であるということがいえるのです。

広告予算はマーケティング、検索システムは情報システム投資と分けて考えるのではなく、流入前と流入後という一貫したマーケティングとして考えて始めて、流入×コンバージョン=売上を最大化することができると言えます。

ECサイトの検索結果はアドネットワークにも最適

広告と検索が密接な関係にある理由として、1つ目に消費者に訴求するものとして本質的に似通っているものであるということ、2つ目に流入前と流入後という一貫した流れの中にあることを挙げました。

3つ目の理由として、サイト内検索 の検索条件=検索クエリは、広告にも役に立つということが挙げられます。

そもそも1つ目や2つ目であげたように、検索はサイト内広告であるという発想で考えれば当然ではあるのですが、サイト外での検索条件と同様もしくはそれ以上に、サイト内での検索条件というのは重要です。

そもそも最近はSSL化によってリファラとしての検索キーワードが取得できなくなってきているということもありますが、何よりGoogleのようなサイト外の検索に対してECの サイト内検索 というのはより消費者の需要というものを細かく表しています。

インターネット検索における検索クエリというのはキーワードのみで、またそれが消費行動における興味であるとは限りません。

これに対してEC サイト内検索 における検索クエリはそのほとんどが消費行動に関した興味で、またキーワード以外の様々な情報をマーチャントにもたらしてくれます。

例えば絞込条件における金額の範囲であったり、アパレルにおける色やサイズであったり、並べ替え条件における金額順、人気順、新着順といった優先順位など、ユーザーを理解するための宝の山であるといえます。

検索クエリの可能性

こうした貴重な情報を サイト内検索 結果=サイト内広告に最大限活用することはもちろんですが、それはまた同時にサイト外における広告にも活用できるといえるのです。

現在のところはまだ、ECサイトの検索条件をサイト外の広告に活かすようなアドネットワークというのはほとんど存在しません。
せいぜいが閲覧した商品のリターゲティング広告くらいです。

しかしながらこうした検索条件というのは、オーディエンス情報と同じかそれ以上に効果的な広告出稿の判断要素となるのです。

私は2年ほど前からこうした可能性について取材などで言及してきましたが、今年あたりからようやくこういった流れが実現し始めるのではないかと考えています。

 

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【著者情報】
株式会社ゼロスタート
代表取締役社長 山崎 徳之

【連載紹介】
[Biz/Zine]テクノロジービジネスの幻想とリアル
[ECZine]人工知能×ECことはじめ
[ECのミカタ]ECの役割
[ネットショップ担当者フォーラム]検索とレコメンドで実現するEC時代の接客術
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