検索はなぜマーケティングなのか


市場の成長に伴うUXの変化

前回に引き続き、マーケティング手段としての検索について考えてみます。

まずは最近自分が「いちユーザー」として、ちょうど感じたケースがあったので紹介してみます。
それはいわゆる「フードデリバリー」です。
コロナ禍で大きく変わった業界の最たるものの一つがフードデリバリーではないかと思います。

私も出前館・menu・楽天デリバリー・UBER Eats・Wolt・fineDineあたりを併用していますが、以前はフードデリバリーのUXというのは、いわゆるナビゲーションがメインでした。
それがここ最近急速に検索にシフトしてきていると感じます。

もちろんそれは店舗数によるので、私の自宅近辺においてということだとは思いますが、これがさらに店舗の多い例えば港区のようなエリアだともっと早くからそうだったのかもしれませんし、逆にもっと店舗の少ないエリアでは、まだまだナビゲーションがメインという可能性はあるでしょう。

いずれにしても、「興味を持ちうる対象物が一定数を超えると」UXというのは基本的にナビゲーションから検索へとシフトしていきます
つまり基本的に検索というUXは、成長市場や成長産業を対象としたものであることが多いということです。

話を戻すと、私の自宅周辺のフードデリバリーの対象店舗はかなり急速に増え、以前はお届け時間の早い順とかランキング順などで上から下まで見れたのが、事実上かなり厳しくなりました。

そこで最近よくやるのが、メニューでの検索です。
麺類とかファストフードなどの大きなジャンルであればナビゲーションで用意されているケースが多いですが、私がよくやるのは「冷やし中華」とか「生春巻き」とかもう少し細かい粒度での検索です。

これはまさに、1990年代にYahoo!のナビゲーションサーチがGoogleのキーワードサーチに移行した現象に大変良く似ていると思いますがどうでしょうか。
フードデリバリーのナビゲーションUIは、各社それなりに近しいクオリティで競っていますが、検索となると結構強い弱い(早い遅い)が顕著に出るようです。
これからの、少なくとも都心のフードデリバリーは検索が遅いとかなりビハインドとなるかもしれません。

優秀なロジックは高速処理があってこそ成り立つ

成長市場や成長産業においては検索が重要となりやすいのは、興味を持ちうる製品やサービスが多いからだけではありません。

もう一つの理由として、成長市場に流入してくる新規ユーザーというのは基本的にはフォロワーすなわりレイトマジョリティが多いというものがあります。
つまり相対的には市場が小さい頃からのユーザーに比べて、デジタルにおけるリテラシーが低い方に変化していくということです。

初期の市場で、いわゆるイノベーターやアーリーアダプターがユーザーの多くを占めている状況であれば、たとえ興味を持ちうる製品が多い状態でも、ユーザーがなんとか対象商品を見つけてくれるかもしれません。
ところが市場の裾野が広がって、ユーザーの多くがフォロワーになってくると、ユーザーに寄り添うようなUXを実現しなければ容易にそっぽを向かれてしまうことになってしまうでしょう。
そのために検索に求められることは、多岐にわたります。

まずはなんといっても処理速度です。
ここが結構世の中的には認識されていないのですが、検索で最重要なのは間違いなく速度です。
優秀なロジックというのはあくまでも、速度というものが十分であるという前提のもとでのみ成立する要件です。

このコラムでも以前に触れていますが、「処理速度が早ければいかようなロジックも搭載できる」し、「処理速度が遅ければ優秀なロジックも実装できない」のです。

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データ設計は検索環境改善の最重要な第一歩

処理速度の次に求められるのはもちろん検索ロジック、と言いたいところですが、ロジックよりも先にくるものがもう一つあります。

それは「データ設計」です。
データ設計自体、検索の処理速度に大きく影響してきますから、この2つはある意味表裏一体とも言えるかもしれません。
当社でも基本的にはクライアントの要望というのは実現してきているのですが、実現が難しい最たるものの一つが「元々データに存在しない項目を使う」ということです。

ただ当初存在しないデータでも、データを処理することによって発生させることが可能なケースもまた多くあります。
クライアントの旧来の検索環境を改善するときに、真っ先に着手するのがこの「データ設計」であり、また導入までに最も多くの時間を費やす部分でもあります。

例えば何かの予約サイトがある場合に、元々のデータがただの平文で、施設名、特徴、価格、口コミなどがごちゃっとあるだけの状態では全文検索(フルテキストサーチ)するしかありません。
これでは処理が遅いだけではなく、ドリルダウン(いわゆる絞り込み)もできませんし、ソート(並べ替え)もできません。
元々のただのテキストデータを綺麗にフォーマットして、構造を持つデータにしてあげることが、最初に必要でありまた最重要なステップの一つであるということになります。

検索ロジックの次に重要なのはUI

さて、処理速度が十分で、かつデータが綺麗に整備されてようやく、検索ロジックというものが重要になってきます。
ただ検索ロジックというのは日々改善されるべきものでもあり、またロジックが優秀であることに異を唱える人はいないでしょう。

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一般的に「検索にとって必要なものはなんでしょうか?」という質問に対して「検索ロジック」という回答が真っ先に来ることも多いのではないでしょうか。
ただこれは前述したように、あくまでも処理速度と良いデータがあった上での話ということになります。

さて検索ロジックの次に重要なのはなにかというと、それはUIすなわちインターフェースです。

次回はこの検索のインターフェースについて、解説してみます。

 

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【著者情報】
ZETA株式会社
代表取締役社長 山崎 徳之

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