2023年6月期決算振り返り


サイジニア株式会社2023年6月期通期決算発表サマリー

ご無沙汰しております。
最近はコラムの更新頻度が低く、大変申し訳ありません。

さて8月14日に無事決算発表をすることができました。
まだ短信の開示と決算説明資料によるもので有価証券報告書はこれからですが、それでも一年の区切りという感じです。
そして今回は、初めて中期経営計画も策定し開示を行いました。
中期経営計画については、また別の機会でコラムもしくは動画での解説をしていく予定です。

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▼リンク
1. 2023年6月期決算短信〔日本基準〕(連結)
(※PDFファイル)

2. 2023年6月期決算説明資料 (※PDFファイル)

3. 中期経営計画 (※PDFファイル)

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業績予想は売上28億円、営業利益3億70百万円、経常利益3億60百万円、当期純利益2億50百万円でしたが、実績は売上24億37百万円、営業利益3億80百万円、経常利益3億76百万円、当期利益2億60百万円となりました。
利益目標はすべてにおいて当初計画を上回ることができましたが、売上は当初計画に若干及ばず、申し訳ありません。
2年前にサイジニアの社長に就任以降、対外的に発信した内容については業績に限らず基本的には実現をしてきたのですが、今回売上が届かなかったことについては、誠に遺憾であり、私の不徳の致すところです。
一方で、利益に関しては超過達成をしたことについては、これは社員一同の頑張りの結果に他なりません。
ここに感謝を述べたいと思います。

4つの大きなトピック

さて、昨期を振り返ると大きくいくつかのトピックがありました。

・ソフトバンク株式会社の保有する当社株式の取得
・ネット広告サービスからの撤退
・いくつかの新規事業
・株主還元の実行

まずソフトバンクの保有する当社株式の取得については、昨期のある時点で、先方が会社として株式を手放す方針であると連絡を受けました。
放出されることが決まっているのであれば、望ましい相手先への譲渡か、自社で買い取るかが、良い選択肢であると思います。
これが市場で売却ですとか、あくまで我々から見たらですが、望ましいとは思えない相手先への譲渡となると、様々なデメリットが予想されます。
幸い、潤沢ではないにしてもキャッシュも純資産も、当時の株価においてその100%を自己株式の取得として引き受けられそうであったため、協議の結果、自社株買いを臨時株主総会において付議し、無事承認いただけたため実行しました。
株主還元としての自社株買いであれば、特定相手先からではなく、全株主対象で行う方がより好ましいのも事実ですが、先方の放出が決定事項という前提があるため、これはこれで良い結果となったのではないかと思います。

次にネット広告サービスからの撤退についてですが、これはまさにグループにとって大きな決断でした。何しろ売上においては2022年6月期において過半数を占める事業からの撤退です。そしてこの判断が、前述した売上は当初計画を下回る要因であったことも事実なのですが、それでも、市場環境や経営環境を考えると、ずるずると引き延ばすのではなくここで一気に撤退を実行することが良い判断であったと思います。
一つにはまずサードパーティCookieの規制動向という大きな外部要因により、我々グループの事業規模では縮退していく可能性が非常に高く、容易に採算割れをすることが考えられたからです。また別の理由としては、幸いCX改善サービスが大変好調であったため、であればコアコンピタンスの選択と集中で、こちらに経営資源を集中投下するという選択が可能であったこともあります。
またネット広告サービスに関しては、事業の終了ではなく、株式会社ジーニーさんとの間で事業譲渡が合意に達したことも、大変ありがたかったのも事実です。
ここであらためてジーニーさんにはお礼を申し上げたいと思います。
当社ではネット広告サービスを事業運営していく上で採算がとれる最低規模を維持できなかったかもしれませんが、ジーニーさんは会社の規模も事業規模も、当然広告事業の規模も当社グループよりもかなり大きいため、まだ事業を吸収する余地とメリットがあったためではないかと思います。

次にいくつかの新規事業ですが、一つはZETAで販売開始したハッシュタグソリューションである「ZETA HASHTAG」があります。
これは前期に販売開始したのですが、前期中から5000万円を超える収益貢献をしてくれました。
もちろん既存の商品検索エンジン「ZETA SEARCH」や口コミエンジン「ZETA VOICE」も着実に収益において成長をすることができました。
このあたりは決算説明資料に詳しく記載しています。
またそれ以外の新規事業として、リテールメディアにおける広告事業もありました。
当初はデクワスブランドでの「deqwas.LISTING」とZETAブランドでの「ZETA AD」という並列展開をしていたのですが、ネット広告サービスの事業譲渡に伴い、「ZETA AD」一本での展開となっています。
このリテールメディア広告事業は、今後市場が非常に大きく成長するであろうと期待しており、前期においても若干の収益貢献がありましたが、今期以降も大変期待をしています。
またリテールメディア広告に関しては、積極的に他社との提携も進めており、株式会社アドインテ様や、前述のジーニーさんとも提携をしています。
そもそもジーニーさんとリテールメディア広告において事業提携したのがきっかけで、ネット広告サービスの事業譲渡が実現したという背景もあります。

そして最後に株主還元の実行です。
前述しましたように、放出という前提がある以上は、ソフトバンクの株式を自己株式の取得という形で引き受けることは、これはこれで株主還元ではあると考えていますが、とはいえやはり特定株主からの取得では株主還元という印象が薄いのもまた事実だと思います。
このため、10億円弱の自社株買いをしたその同じ期の期末配当として、初の配当も実行することを計画しております。
もちろん最終的には定時株主総会での承認を経ての実行となりますが、配当を行うことは大変わかりやすい株主還元であるとともに、また当社グループの収益の見通しが良いということを、対外的にしっかり説明できる取り組みであろうとも考えています。
2023年6月期の配当は5円を予定していますが、2024年6月期においては7.5円に増配する計画であることも合わせて発表をしています。

今後のグループおよびIRの方針

2022年6月期ものれんの一次減損など様々なことがあった一年でしたが、2023年6月期はこのように、大変盛りだくさんの、良いことだけではない乗り越えるべき事象もたくさんありました。
基本的には今後とも利益率の向上と株主還元の充実を目指し、対外発表したことはしっかり実現をするコミットメントの会社であることを、示していきたいと思います。

またIRに関しては、機関・個人を問わず投資家の方から、もう少し強気の説明をした方が良いのではないかというご指摘も頂きますが、まだもう少し「やや保守的」なIR方針を続けていく予定です。
IRは強気になればなるほど実現できないリスクが上がり、弱気になればなるほど実現できないリスクは下がるが悲観的な見方をされると、なかなか悩ましいものではありますが、「やや保守的」な方針が、今のグループの実力と状況からすると、妥当ではないかと思います。
コミットメントを繰り返していくうちに、また銘柄としての注目度が回復し、業績に対して安定して好意的な株価形成ができてくるにつれて、少しずつ方針を修正していこうと思います。

どうぞ引き続きご支援のほど、よろしくお願い致します。

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【著者情報】
ZETA株式会社
代表取締役社長 山崎 徳之

【連載紹介】
[gihyo.jp]エンジニアと経営のクロスオーバー
[Biz/Zine]テクノロジービジネスの幻想とリアル
[ECZine]人工知能×ECことはじめ
[ECのミカタ]ECの役割
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