サイト内検索 における SEO 対策
インターネット検索(外部検索)と サイト内検索 の違い
前回は サイト内検索 はマーケティング、という内容のさわりについてでしたが、今回もその点についてより掘り下げていこうと思います。
今回は サイト内検索 の SEO についてです。
SEO というとやはり一般的には、Googleのようなインターネット検索(外部検索)における最適化のことを指すと思います。
もちろん私も SEO といえば外部検索のことを思い浮かべますが、一方で内部検索について SEO が全くいらないかというとそんなことはありません。
外部も内部も、両方必要ということです。
まずその前に、外部検索と サイト内検索 の違いについて考えてみましょう。
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外部検索
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・ロジックは中立でコントロールできない
・外部から見えるコンテンツのみが対象となる
・インデックスは非同期
・コマースにおいては集客部分に該当する
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サイト内検索
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・ロジックは自身でコントロールできる
・外部から見えないデータも対象となる
・インデックスは非同期とは限らない
・集客後のコンバージョン部分に該当する
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他にもありますが大きな違いはこのあたりです。
基本的には外部であろうと内部であろうと、検索結果が自身にとってある意味「都合の良いような」ものになって欲しいわけですが、外部検索の場合にはロジックはいじれないのでコンテンツをそれに沿わせることになります。これがいわゆる SEO です。
一方でサイト内の検索の場合にはコンテンツ自体も手を入れられますが、それに加えてロジックをコンテンツに沿わせるという逆のアプローチも活用されます。
そしてさらに、見えないデータもサイト内の検索に活用することができます。
検索される瞬間とインデックスされる瞬間
外部検索はクロールによって検索インデックスが作成されるため、「見えるもの(コンテンツ)」がそのまま検索のデータになります。
逆に見える内容とクロールされる内容を変えてしまうと、クローキングなどのペナルティを受けることになります。
これは、「外から見えるものをそのまま中立的に評価する」という、外部検索の趣旨からすれば当たり前のことではあります。
一方でサイト内における検索の場合、検索インデックスとして使われるのは外部から見えるコンテンツだけではなく内部で持っている(外部からは見えない)データにも及びます。
その大きな理由の一つに、上記の違いにも書いたように「インデックスのリアルタイム性」という差異があります。
外部検索は基本的にクロールされてインデックスされて検索されるので、検索される瞬間のコンテンツは多かれ少なかれ過去のものです。
つまり検索される瞬間とインデックスされる瞬間は違うタイミング(非同期)ということです。
これに対して サイト内検索 は、非同期でももちろん良いですが、同期すなわちリアルタイムのデータの活用も可能です。
ただ何でもかんでも同期データにしてしまうとパフォーマンスにかなりの影響があるので、そこをどのように組み合わせるかも重要ではあります。
言い換えれば、常にリアルタイムのデータを検索するすなわちインデックスすら作らなくてもパフォーマンスが担保できるならそれでも良いということです。
これは サイト内検索 に限らず外部検索も同様です。
Googleが常に検索された瞬間にネットのあらゆるデータを取り込んで評価して最適な順番で並べてくれるなら、Googleにもインデックスもいらなくなります。
ただ現実問題としてそれは不可能なので、クロールして評価してインデックスする、という手間が必要になるということです。
サイト内検索 は重要なマーケティングポイント
このように外部検索と サイト内検索 には結構な違いがありますが、総じて言えるのは「 サイト内検索 のほうがはるかに自由度が高い」ということです。
コンテンツだけではなくデータも活用できますし、リアルタイムな情報も使えますし、ロジックも言ってみれば自由自在です。
もちろんその自由度をマーチャント(ショップ)にとってだけ都合が良いような使い方をしてユーザーから見たメリットがないようでは、いずれそういうサイトはそっぽを向かれてしまうので、そうした自由度は中長期的にユーザーにとってメリットがあるような方向に活用しなければなりませんが。
にも関わらず、外部検索よりできの悪い? サイト内検索 というのはたくさんあります。
前回も触れたように、キーワードをちょっと間違えただけで0件ヒットになるとか、在庫がないものを上位表示したりとか、的はずれなキーワードマッチをしていたりなどです。
ロジックが自分ではどうにもならない外部検索では労力を使ってSEOをしているのに、ある意味自分で自由になるサイト内の検索は手間をかけないというのは、こんなもったいないことはありません。
どういう検索クエリに対してどういう検索結果を出すか、いかにコンバージョンするような内容にするか、それはまさにマーケティングそのものであるといえます。
外部検索でもそうですが、サイト内の検索においてもユーザーは、10ページも20ページも検索結果を見てくれません。
せいぜい最初の1-2ページくらいです。
そこに何を表示するかが勝負です。まさにこれは、外部検索のSEOと同じです。
しかも、外部検索のように他社のページが上位に表示されるわけでもなく、自社のコンバージョンしない商品が上位に表示されてユーザーが離脱するというのは、多大な機会損失となってしまいます。
サイト内検索 のロジックをチューニングする難易度
ではなぜこのようなことが起こるのかというと、本来自由であるはずのロジックが、自由ではあるはずだが手を出せないケースが多いためです。
外部検索の場合には、ロジックは手を出せない分、コンテンツをチューニングするしかありませんが、コンテンツのチューニングというのは別に高度な技術力が必要なわけではありません。
魅力的で内容のあるコンテンツをお行儀よく配置すれば、そのコンテンツが本来持つパワー程度には上位に表示されるようになるでしょう。
一方でサイト内の検索の場合、検索ロジックをチューニングするというのは高度な技術力が必要となります。
下手にいじると遅くなりますし、ある検索クエリに対しては最適化できても他の検索クエリではその副作用で結果が悪化してしまうなどです。
手が出せない(手が出しづらい)ので、検索ロジックのチューニングは放置するしかなく、その結果外部検索よりも検索結果が悪くなってしまうということです。
つまり サイト内検索 における SEO が悪いケースは、そもそも サイト内検索 自体をマーケティングとして認識できていないか、認識できてはいてもロジックのチューニングまで手が出せないかということになります。
なぜ サイト内検索 のロジックのチューニングは難しいのか、そのあたりについて次回解説をしてみます。
■ZETA CXシリーズ■
・サイト内検索エンジン・EC商品検索 「ZETA SEARCH」
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【著者情報】
ZETA株式会社
代表取締役社長 山崎 徳之
【連載紹介】
[gihyo.jp]エンジニアと経営のクロスオーバー
[Biz/Zine]テクノロジービジネスの幻想とリアル
[ECZine]人工知能×ECことはじめ
[ECのミカタ]ECの役割
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