ECにおける 商品検索 の改善方法
今回はECにおける 商品検索 の具体的な改善について解説していきたいと思います。
前回までの記事で触れたように、検索というのは接客と同じ「お客さんと商品のマッチングである」という原則を常に意識することが重要です。
ECにおける検索結果というのは検索条件に合致した結果ではなく、検索条件を基にした商品提案リストです。
「0件ヒット」はショップ側の怠慢
まずいちばん最初にやらなければならないことは、0件ヒットの排除です。
「お探しの商品はありません」という検索結果というのはありえません。同様に、商品は見つかるけど在庫がない、というのも同じです。在庫なしの商品ばかりが出ているのは、結局0件ヒットと同じことです。
また、お客さんが探したいものと違うものばかり出るのも、意味的には0件ヒットと同じです。もっと悪いとも言えるかもしれません。
たとえば「水」と検索して「化粧水」が出たり、「ベルト」と検索して「ベルトつきバッグ」が出るようなケースは、明らかにお客さんが探しているものを出していません。
ECの場合、商品カテゴリ名が商品名に含まれていないのはよくあることです。
例えば「ボルヴィック」という商品名には「水」という単語は入っていません。これをこのまま検索してしまうとヒットしないということです。
さらに言うと、お客さんが商品名を間違えている場合でも、検索結果が出ないのはショップ側に責任があると考えるべきです。
全然違う商品名であればさておき、ジャとジュを間違えているとかそんな程度で「お探しの商品はありません」という検索結果が出るのは明らかにショップの手落ちであると言えます。
「そんな無茶な」と思ってはそこでおしまいです。
例えば実際の店舗で多少商品名を間違えたとしても、おそらく正しい商品まで辿り着くことが出来るでしょう。
▼ 最初に排除すべき改善点(0件ヒット/0件ヒットと同意味のもの)
・在庫なしの商品ばかりが出てくる
・ユーザーが探したいものと違う商品ばかりが出てくる
・商品名と完全一致な正確キーワードで検索しないと出ない
検索精度の向上には日々のチューニングが必要
0件ヒットの排除には、機械的に対処できるものと運用で対処するべきものがあります。
例えば金額範囲などの条件の調整などは機械的に出来るでしょう。
厳密に金額範囲にマッチするものがない場合、ある程度マッチするものが登場するまで少しずつ条件を広げていくなどは機械的にも出来ます。
商品名の新語や略語などは機械的に対処できないので、日々クエリログをチェックして0件ヒット(検索結果としては0件ではないようにしていたとしても本質的にそのキーワードで0件ヒットである場合も含みます)になるものの辞書登録をしていくなどです。
機械的に対処するケースでも、「どう対処するのか」のロジック自体は日々チューニングをしていく必要があります。
ECにおける商品検索の精度の向上には、こうした運用が欠かせません。
ただ実際には実装してから何もしていないというECがまだかなり多いように見受けられます。
ECにおける「検索の並び順」は最重要部分
とりあえず0件ヒットや在庫なしのみの結果などが排除できて何らかお客さんが求めるものが検索結果に出るようになったら、次にやるべきことはその並び順の調整です。
普通の検索の場合には並べ替えより選択のほうが重要だと思いますが、ことECについては選択より並べ替えのほうが重要です。
何件ヒットしたかよりそれがどう並んでいるかのほうが重要ということです。
極論すれば、常に商品の全件がヒットしてもそれが適切な順番で並んでさえいれば良いとさえ言えます。
先ほどまでの「0件ヒットの解消」は、普通に頑張って取り組めばさほど難しくはないですが、並び替えの最適化というのは実に難しいといえます。
実際の店舗でも、0件ヒットのような接客というのはまずありませんが、適切な順番に商品をオススメするというのは出来ていないケースもままあります。
いわゆる優秀な店員さんがしているようなことを実現しないといけないということです。
最適な商品の並べ替えの順番は、人によっても違いますし、同じ人でも先週と今週では違う可能性があります。
そのためなるべく多くのデータを適切に活用することが鍵となります。
検索条件そのものはもちろん、過去の行動履歴、そのときの在庫や値引き状況、商品同士の関連性など使える情報は様々です。
検索条件自体も、ドリルダウンされているときにどの項目がより重視されているかはケースバイケースですので、A/Bテストをするなどして最適な正解を探し続ける必要があります。
実は検索のチューニングとA/Bテストというのは切り離せないものなのですが、これについてはまた別の回で詳しく解説します。
何を出すか、どういった順番で出すか(本質的にはどういった順番で出すか、だけではあるのですが)、がECにおける商品検索の一番頑張るべきところではあります。
あと重要なものにいわゆるUI・UXというものがあります。
どう検索してもらうか、どう検索結果を表示するか、どういう検索体験をしてもらうかなどです。
次回はこの検索にまつわるUI・UXについて解説してみます。
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・サイト内検索エンジン・EC商品検索 「ZERO ZONE SEARCH」
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【著者情報】
株式会社ゼロスタート
代表取締役社長 山崎 徳之
【連載紹介】
[Biz/Zine]テクノロジービジネスの幻想とリアル
[ECZine]人工知能×ECことはじめ
[ECのミカタ]ECの役割
[ネットショップ担当者フォーラム]検索とレコメンドで実現するEC時代の接客術
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