RISE 2019 レポート


「Web Summit」のアジア版「 RISE 」

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昨年に引き続き、今年も香港で開催される RISE というイベントに参加してきました。

そもそもはWeb Summitという世界最大のテックイベントとも呼ばれるものが毎年11月に欧州で開催されているのですが、その北米版がCollision、アジア版が RISE という位置づけです。

昨年のWeb Summitにも参加しましたが、こちらはなんと参加者7万人という巨大イベントです。

ただ残念ながら日本からの参加は200人と少なかったですが、今年来年と日本からの参加者も増えるのではないかと思います。

RISEはアジア版ということもありWeb Summitに比べると1/4くらいの規模感です。

いきなりWeb Summitに行くと規模が大きすぎてどうしていいかわからなくなるので、先に RISE に参加しておくとWeb Summitをより楽しむことができるというメリットもあるのではないでしょうか。

スタートアップによるピッチコンテスト

私自身は昨年の RISE 、Web Summit、今年の RISE と3回目なのでだいぶ勝手もわかってきたこともあり、昨年よりも効率的に回ることができました。

去年は基本的にpandaというマーケティング向けカンファレンスなど、そのカンファレンスのトラックで決めていたのですが今年はもう少し柔軟に内容を検討することができたのと、あとは昨年だと個人的に「単独スピーカーのセミナー型」のセッションの英語は問題なかったのですが、「複数スピーカーのディスカッション型」のセッションはちょっとリスニングが大変だったのが、今年はディスカッションタイプのセッションも十分理解できたので、という違いもありました。

去年多くのセッションを聞いたpandaは、今年は一つも聞いてませんでしたが、逆に去年は全く聞かなかったスタートアップのピッチコンテストは聞いてみました。

ピッチコンテスト自体はそんなにインプットというか学びの場にはならないと思いますが、そうした雰囲気とか、自身がピッチをする予定があれば内容ではなくスタイルは参考になると思います。

イベントに臨むメンタリティ

スタートアップピッチコンテストに限らず、こういうイベントに参加して何かを得るためには、「自分だったらどう考えるか・取り組むか」というスタンスが必要です。

聞いた内容そのままが片っ端から役に立つとしたら、逆に普段何をやっているんだということになるでしょう。

もちろん、たまには聞いた内容自体が役に立つ、というセッションもありますが、私の経験だと30セッションに1つくらい、なので1イベントで1つあれば良い方です。

しかもそれはトラックの選択によっては、聞く機会がない可能性すら少なくありません。

キーノートが役に立つ可能性もありますし、逆にキーノートであるがゆえ普遍的すぎて全く役に立たないという可能性もあります。

経験的には、パネルディスカッションよりは単独のセミナーのほうが、データの紹介など有用である可能性が高いとは言えますが、それもファシリテーターによって変わったりしますし一概には言えません。

重要なのは、聞いた内容に対して「この人はそう思うのか。どういう背景や経緯でそう思うんだろう。そしてそういう経緯からそういう内容にたどり着いたプロセスはなんだろう」という、自分なりの消化をすることです。

これは語学学習にも似ています。

キャッチアップ量を左右する要素

例えば最近よく聞くsustainabilityというキーワードは、そのまま直訳だと持続可能性です。

でも直訳ではなく、どうしてそこでsustainabilityというキーワードを使ったのかというコンテキストまで考えれば、持続可能性よりは「資源を枯渇させないエコシステム」のようなフレーズのほうがふさわしいケースはよくありますし、要はどういう状況つまりコンテキストを説明しようとしてsustainabilityというキーワードを選択したのか、というアプローチが重要で、それをもし自分の言葉で説明するとしたらなんだろう、という点まで考えて初めて意味があります。

話は逸れますが、ことわざをイメージするとわかるのではないでしょうか。

他人の挙げていた例で恐縮ですが、とあるYouTuberが英語の勉強動画で、SUITSというドラマの「First impressions last.」というフレーズを解説していました。

これをもし日本語で言うなら「最初の印象は最後まで残る」より「最初が肝心」のほうがピッタリでしょう。

スタートアップピッチでもセミナーでもディスカッションでも、「自分がそのステージに立っていたらどうか」という視線は大変重要です。

ぶっちゃけ、事業とかビジネスについて24時間真剣に考えて取り組んでいたら、登壇している人たちと遜色無い意見を持つことは全然可能です。

なので先程も書いたように「この人はそう思うのか」という視点が重要なのです。

本当にまだ全く右も左もわからなくて「なるほど参考になるなあ」であれば、それはイベント自体がとても役に立っているとも言えますが、それなりに自分でも知識と経験がある状態で、ただ聞いたことに対して「なるほど参考になるなあ」では、聞いている意味が半減です。

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中国はまだまだ大量消費ステージにある

話が RISE レポートというよりイベント参加のスタンスみたいになりましたが、 RISE のコンテンツ自体はコマースのトピックが少なかったこともあって、さほど着想や気付きを得られるものはありませんでしたが、いくつか挙げてみます。

 

・スマートフォンを文字以外も含めて入力デバイスとして扱う分野は今後競争が激化しそう

・リアルで活用するテックはデジタルで活用するテックよりも本質的なポテンシャルは高い

・AIはコアから末端へとシフトしていくトレンドにある

・OMOはやはり有望

・OMOによってデジタルデバイドは減る方向に行く

・中国のほうが電子決済の普及率という意味でOMOの下地は整っている

・テクノロジーは常に規制より先に行っているので規制が議論されているものはすでに遅い

 

というあたりが、感じた内容でした。

こういうカンファレンスで議論がホットなジャンル自体はレッドオーシャンになりやすいので、感じた内容が必ずしも良いとは限りません。

どうもこの辺みんな注目して過当競争になりそうだからやめておこう、というのも良い判断だと思います。

そもそもこうしたステージに立つ人が発表している内容は、発表している時点より昔に考えたものでもあるので、それを受けてアクションする時点でビハインドということも理解する必要があります。

私が思うに、それよりはやはり「どうしてそう考えるのか」という思考プロセスのほうが参考になるのではないでしょうか。

最後に今回の RISE で個人的に感じた一番の内容は、中国はまだまだ大量消費ステージにある、というものです。

 

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【著者情報】
ZETA株式会社
代表取締役社長 山崎 徳之

【連載紹介】
[gihyo.jp]エンジニアと経営のクロスオーバー
[Biz/Zine]テクノロジービジネスの幻想とリアル
[ECZine]人工知能×ECことはじめ
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