セラー と ツールベンダー の幸福な出会いとは


セラー と ツールベンダー 間のギャップ

今回は珍しくマーケティング的な内容ではないのですが、最近良く考えるテーマなので取り上げてみたいと思います。

当社は「ZETA CX」シリーズとして、ECや店舗のコマース向けのソリューションを展開していますが、当然その導入先はコマースを手がけている企業様ということになります。

ちなみに導入先としてはB2CのECだけではなくB2BのECもありますので、当社はB2B2Cということではありません(B2B2B2B2B…Cというケースもありうる)。

以前はブランドがプロダクトを作りリテールが販売する(もしくは間に流通がある)ケースがほとんどでしたが、ECの拡大もあって最近ではブランドによる直販、いわゆるD2C(SPA含む)が増えてきたこともあり、「 セラー 」という表現でまとめられるケースも増えてきました。

ブランドだろうがリテールだろうが、消費者もしくは企業にプロダクトを販売することを事業にしている企業が セラー ということです。

つまり、当社のプロダクトの導入先は基本的には セラー ということになります。

さて、当社のような ツールベンダー (カッコいい言い方だとソリューションパートナーと言ったりもしますが、まあ ツールベンダー というのが妥当だと思います)と、それを導入していただくセラーとの間には当然ながら大きなギャップがあります。

このギャップを解消できないと、いわゆる幸福な出会いにつながらないことが多いでしょう。

例えば、本当はすごくその セラー にとって良いツールなのに認知に至らないもしくはそう思えないパターン、逆にその セラー にとって良いツールではないのに導入してしまうパターンなどです。

どうしてこのようなことが起こってしまうのか、どうしたらそれを避けることができるのか、を最近ずっと考えています。

当社も「いち ツールベンダー 」ではあるため、ややもすると批判的な内容になってしまう怖れもありますが、極力フェアな視点で書いてみます。

ツールベンダー としての最大の課題

こういう場合は極端なケースを考えるのが有効なので、まずは「理想のパターン」とはどういうものか考えてみます。

それは、 ツールベンダー 達がセラーのビジネスの特徴、長所短所などを十分理解し、 セラー はツール群の特徴、長所短所を把握した上で、 セラー と各ベンダーで導入後の正確なシミュレーションを行い、その上で一番ROIの高いものを選択する、ということだと思います。

もちろん他にも、導入後のサステナビリティ、コミュニケーションコスト、 セラー の今後の展開のプランなども重要な要素です。

そして、そんな理想のパターンはまず起こりません。

検討コストもROIの一部ということもありますし、そもそも セラー とベンダーに相互にお互いを良く理解するためのモチベーションとインセンティブがあるのか、という問題、あとはそもそも理解する知識や経験があるのかなどのハードルが存在します。

セラー にもベンダーにも課題はありますが、まずベンダーとしての課題を挙げてみます。

最大の課題は「売れれば良い」という考えです。

もちろんベンダーを事業としてやっているわけですし、「そもそも儲からないとツールを安定して開発保守運用できない」というのも事実です。

だからといって、導入しても効果がないむしろ逆効果なツールを セラー に売るのは長い目で見ればマイナスです。

まあ正直ベンダーとしてはこの、「売れれば良い」という点さえ気をつければ大部分のハードルはクリアできます。

ただ、「売れれば良い」と思っていなくても、 セラー のビジネスへの理解度が足りない、つまり姿勢は間違っていないが知識経験が追いつかないというパターンもあるにはあります。

セラー にとっての最大のハードル

一方で セラー 側のハードルや課題というのは、私がベンダー側というせいもありますが、もう少し複雑で難儀です。

ちなみに私も以前は セラー というわけではないですが導入側にいたこともありますので、 セラー 側の考え方も少しはわかります。

セラー 側の最大のハードルの一つは、ツールの特徴や長所短所をきちんと把握理解できない、かつ、把握理解していない状態を認識するのが難しいということです。

どうしても セラー とベンダーには、買う側買ってもらう側という関係がありますので、ベンダーは阿るような姿勢になりやすいですし、 セラー は意図せずとも「相手が阿っている」という状況に慣れてしまいがちです。

そうした関係の中で、例えば セラー の担当者や責任者がまだツールの良さをわかっていないケースではベンダーはその良さをわかってもらうための努力をしますが、逆に「ツールの欠点もしくは、その セラー との相性の悪さ」をわかっていないケースで、ベンダーがわざわざ セラー に「わかっていません」と言うことはほとんどありません。

先程の「売れれば良い」というのにも繋がりますが、むしろラッキーな誤解くらいに思うベンダーも多いような気はします。

阿るベンダーも悪いですが、だからといってそれに乗せられてしまうようではダメということです。

セラー がツールの導入を検討するときはだいたい複数のプロダクトを比較すると思いますが、そもそも各ツールの特徴、長所短所を把握できていないとしたら「その比較自体も、そこから導かれるROIも意味はない」のです。

あえて言い切ってしまいますが、「導入するツールの良し悪しを見極めるのは セラー の責任」なのです。

私がこれまでの経験で一番高額なプロダクトの導入(ツールではなくてハードウェアでしたが)の選定をした際には、2社のベンダーに付き合っていただいて納得行くまで検証を行い、その結果価格が1.5倍ほどするプロダクトを選びましたがその際には導入することになったベンダーはもちろん、もう一社も完全に納得したプロセスを経ることが出来ました。

結果として投資というか購入費用は億単位となりましたが、単年度だけでその費用を回収することができ、翌年以降もその状況が数年続くという良いプロダクト導入となりました。

その選定プロセスは検証も含めてものすごく大変でしたが、 セラー というかユーザー企業側が努力しないと良い選定プロセスにならないと強く感じました。

ZETAの提案におけるスタンス

さて、こうした セラー とベンダーにおける各課題とは独立した問題として、プロダクトの製品戦略という問題というかテーマもありますが、それはまた次回書いてみたいと思います。

最後になりますが、当社はコマース向け ツールベンダー としては国内でも最もハイエンドのプロダクトの提供を目指しており、そのため価格も一番高額な部類に入ると思います。

そうしたせいもあり、基本プロダクトの提案は「お問い合わせ頂いた企業様に向けて」行っていて、こちらから「このセラーには当社のプロダクトが役に立てそうだ」と思ってもこちらからセールスのアクションをあまり行っておりません。

良い点としては「売れれば良い」というスタンスになりずらい(そもそもお問い合わせを頂いている状態なので)ですが、一方で「 セラー とベンダーの良い出会いになりうるのに出会えていない」というケースも相当ある気はしています。

またプロダクト提案においても、「売れれば良い」というスタンスはありませんが、それでも「できれば導入して欲しい」という気持ちがあるのは事実です。

幸い、導入頂いた セラー において、特に主力製品のEC検索エンジンにおいては、10年以上経過した現在でも「他社への乗り換えゼロ」を維持しており、これは当社の誇りでもあります。

残念ながら セラー で事業を停止するケースや、あとは当社の力及ばず海外本社の意向などで自社開発への切り替えというケースはあるため解約率ゼロではないですが、年間あたりだと数%という大変低い解約率なのは、全部ではないにしても比較的良い セラー とベンダーの出会いを実現できているのではないかと思うと同時に、まだまだ至らない点もあるのでより一層頑張らないといけないとも感じています。

 

■ZETA CX シリーズ■
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【著者情報】
ZETA株式会社
代表取締役社長 山崎 徳之

【連載紹介】
[gihyo.jp]エンジニアと経営のクロスオーバー
[Biz/Zine]テクノロジービジネスの幻想とリアル
[ECZine]人工知能×ECことはじめ
[ECのミカタ]ECの役割
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