ECにおいて”0件ヒット”はNG!良質な UX を生み出す商品検索とは?
今回も引き続きECにおける商品検索のUI・ UX について考えてみます。
ユーザーが望む UX は、最小の努力で最適な結果に辿り着けること
前回説明したファセットカウントのように、UIによって残念な UX を回避するというのは大変有効です。
残念な UX というのには色々なケースがあります。もっとも悪いケースの一つが、
「実際には探している商品があるのにそれが検索結果に出てこない」というものです。
ECを運営されている企業様の声としてもそれが一番重要とされているケースが大半です。これはマッチングの問題でUIの改善だけでは解消できません。
現実には「どんな検索をしてもその商品が出てこない」ということはさすがに稀で、実際には「出てこなくはないが大変な苦労が必要」というのがほとんどです。
例えば検索結果には出てきているが順位が下の方にあって、上位には見当違いのものばかりが表示されユーザーがそこまで辿り着くのが大変というような場合です。
そこまで辿り着く前に離脱してしまった場合、これは検索結果に出てこないのと UX 的には同じです。
他にも、検索結果に出てくることは出てくるが、それを出すための検索条件がとても複雑だったり面倒だったりするようなケースも同様です。
商品名がカタカナの部分をひらがなで検索すると出ないとか、・(中黒)などの記号を省略すると出ないとか、送り仮名が違うと出ないなどというようなケースはまだまだ沢山見られます。
例えば「水」と検索した場合に飲料水(ミネラルウォーター)が出てこずに「化粧水」が出てきたりとか、「デジカメ」と検索した場合にデジタルカメラが出てこなくて「デジカメポーチ」などのアクセサリばかり出てくるようなケース、ベルトと検索してベルトではなく「ベルト付きハンドバッグ」が出てくるなどです。
また、ドリルダウン(絞り込み)していくときに条件の部分的な解除ができないというようなケースもあります。
例えば旅行にいくので宿を探している時、最初に日程とエリアを入れて検索し、その検索結果画面で料金や評価や設備でドリルダウンしていったとします。
そこで希望に沿うものがなかったので日程やエリアを変更しようとするときに、ドリルダウン条件を保持したまま変更できれば便利ですが一旦全部解除しないとやり直せないとしたらこれはかなり面倒なUIであり残念な UX であると言えるでしょう。
ECではユーザーを目的のものへ最短で誘導することが重要
これを実店舗に置き換えて考えてみるとどうでしょうか。
顧客が店員に商品名を少し間違えて伝えた時に「そのようなものはありません」と言い切ったり、「旅行にいくのにこれこれこういう条件で」と伝えて良いプランがなくて行き先のエリアを変更する際に、全部の条件を再度言い直すように求めたりするようなものです。
ありえない接客であり顧客体験であると言えますが、まだまだECにおいてはそのような UX が山のようにあるというのが実状です。 UX をUIで改善できるケースというのは、だいたいこの「目的のものを探すための負担を軽減する」というものが多いといえるでしょう。
ファセットカウントなどはまさにその好例であるといえます。
ファセットカウントがないとドリルダウンしてやり直しということの繰り返しを強いるのが、ファセットカウントがあることによってやり直しすることを極力避ける、すなわち「最初から最も望ましい結果が出るようなドリルダウン操作をユーザーにアドバイスする」ことが可能になります。
また曖昧検索なども同様です。
商品名を間違えている可能性が高い場合に「もしかして◯◯」という候補を出してあげたりとか、もしくは相当その確度が高ければ最初からその修正したキーワードでの検索結果を出してあげたりなどです。
ECにおける検索においては、エンジニアリングとして正しくてもサービスとして間違っているというケースは避けなければなりません。
ユーザーに合わせたレコメンドでプラスアルファの選択肢
次に悪いケースで考えられるのが、「探している商品は実際に存在しないが、良い代替提案ができない」というものがあります。
もちろん代替提案が常に有効とは限りません。「この商品を買うことに決めている!」という場合には代替提案をされてもさして嬉しくありませんが、そうでないこともままあります。例えばカラー違いなら在庫があるとか、金額範囲を少し広げればあるとかです。
中古車検索や賃貸住宅(商品とは言わないですが)の場合などがわかりやすいでしょう。
駅5分以内、7万円以下、築5年以内で検索してもヒットしないときに、単に「0件です」と出すのではなくて「駅10分以内なら◯件」「7.5万円以下なら◯件」「築10年以内なら◯件」などと出すことで、許容できる妥協で良い物件を見つけられることは充分にありえます。
ユーザーが検索しなおせばもちろん見つかりますが、これも実店舗に置き換えれば「ご希望の条件では物件がありません」と言い切って、お客さんが再度違う条件を伝えない限りなにもしないようなものです。
ECではどんな場合でも「0件ヒット」というのは喜ばれません。
「ああ、確かに0件だったんだ。良かった良かった」とは思われないのです。この代替提案は、UIではなくてマッチングで改善する UX であると言えます。
今回はECの商品検索における悪い UX について考えてみましたが、
次回は一方で良い UX について考えてみたいと思います。
■ZETA CXシリーズ■
・サイト内検索エンジン・EC商品検索 「ZETA SEARCH」
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・レビューエンジン「ZETA VOICE」
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【著者情報】
ZETA株式会社
代表取締役社長 山崎 徳之
【連載紹介】
[gihyo.jp]エンジニアと経営のクロスオーバー
[Biz/Zine]テクノロジービジネスの幻想とリアル
[ECZine]人工知能×ECことはじめ
[ECのミカタ]ECの役割
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